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ゴスペラーズ、マイナーだったアカペラがメジャーへ「責任感が薄れた」 27年間の想い [ゴスペラーズ、マイナーだったアカペラがメジャー]

ゴスペラーズ、マイナーだった
アカペラがメジャーへ
「責任感が薄れた」 27年間の想い



ゴスペラーズ、マイナーだった.GIF



5人組ボーカルグループ・ゴスペラーズが、
18年ぶり2枚目のアカペラのみで
構成されたアルバム『アカペラ2』を
完成させた。

昨年10月から5ヵ月連続配信で
アカペラ曲をリリースし、
そのすべてがiTunes R&Bソウルチャート
1位を獲得。

本作ではアカペラクリエイターとして
YouTubeでも注目の「とおるす」や、
新世代のアカペラグループ
Nagie Laneのメンバー「松原ヒロ」など
新世代の面々も参加している。

デビューから27年。

シーンをけん引してきた彼らが、
次に見据える世界とは。

村上てつやと北山陽一に聞いた。


「J-POPで“今のアカペラ”を問えるのは
自分たちだけ」当時の自負


──18年ぶりにアカペラアルバムに
着手した経緯を教えてください。


【村上てつや】アルバムの制作自体は2年ほど
前から始まってたんですよ。

2019年末にメジャーデビュー
25周年のシングルコレクションを
リリースして、そこから続く
ツアーが終わったタイミングで
お届けするようなイメージで。

まあ、残念ながらツアーの
ほうは満足いく形で完走する
ことはできなかったんですけど、

そんなふうに25周年を
一区切りさせたところで、
自分たちのゼロポジションに
立ち返ってみる意味も込めて
アカペラアルバム制作に
取り組んだと、
そんな自然な流れではありました。

【北山陽一】18年前に1枚目の
アカペラアルバムを出した頃と比べたら、
我々の中で明らかに
「アカペラへの責任感」が薄れたことも、
着手できた要因の1つにはありましたね。



──「責任感が薄れた」とは?

【北山陽一】もちろんアカペラは
歴史ある音楽手法だし、多くの尊敬する
先人がいます。

ただ僕らがデビューした27年前には、
J-POPシーンで「今のアカペラ」を
問うことのできるグループは
ゴスペラーズだけだった
自負がありました。

あくまで自分たちの認識ではありますが。

そうしたマイナー競技であるがゆえに、
僕らの楽曲によってともすれば
「アカペラ」というものの
固定観念を植え付けてしまう
恐れもある。

これは非常に重い責任だなと
感じていました。

【村上てつや】自分たちに“縛り”を
かけてきたところもありましたね。

マイク5本だけで、いかに世の中を
驚かせるパフォーマンスを
追求するかという。

ただアカペラというジャンルの
認知が広がったことで、
新世代もたくさん入ってきて。

手法もどんどんアップデート
されていますしね。


──今やYouTubeにも「アカペラで歌ってみた」
動画が無数に投稿されています。




──今やYouTubeにも「アカペラで歌ってみた」
動画が無数に投稿されています。

【北山陽一】J-POPシーンにも頼もしい
後輩がいっぱい出てきて、もはや
「自分たちがアカペラの中心を
担わなければ」という意識を持つ
必要はなくなりました。

そういう意味では曲作りなんかも
リラックスしてできた反面、
アカペラへの認知が定着した
今だからこそ提示するべき
ゴスペラーズとしての答え、
若い世代にも訴えられるものを
作らなければいけないというのも、
本アルバム制作のテーマの
1つでした。

【村上てつや】ここ数年で出会ってきた
若いクリエイターや後輩にも
たくさん入ってもらってね。

ボーカルのエフェクトとか
ミックスも含めて、
中には「これもアカペラなの?」と
驚くような楽曲もあります。

さっき言った“縛り”を
取り払ったような。

一方で僕らが追求してきた
マイク5本のみによる
パフォーマンスも、
初志貫徹することができた。

その二方向の力が拮抗し合いながら、
2021年現在のアカペラアルバム
としての答えが出せたん
じゃないかなと思ってます。


27年間続けてこられた秘訣は
「ギャラが5人均等という
“原始共産制”システム」


──初回限定盤には
「ゴスペラーズ27年目の真実」と
題したDVDも付属。内容も気になるところですが、
この27年間、不動の5人でやってこられた
秘訣はどこにありますか?

【北山陽一】ギャラが均等に5割という
“原始共産制”のシステムを取ってきた
ことじゃないですかね。

これは冗談抜きで、僕らは選曲会議を
必ずメンバー全員でやるんですけど、
楽曲クレジットによってギャラが
決まるシステムだったら、
自分の作った曲を押すメンバーが
出てきかねない(笑)。

ほかのグループはわからないですけどね。

そこが原始共産制であることで、
純粋に音楽的尺度でいいか
どうかの話し合いができる、
ここは非常に重要なことだったと
思っています。


──なるほど。ただ27年間、
活動を休止することもなく
歩んでこられた功績は大きいと思います。
解散の危機などはなかったんですか?

【村上てつや】それがなかったんですよね。
かといって協調性がある5人かというと、
まあ性格も嗜好もバラバラで。

そんな異なる感性を持った5人が、
アンサンブルとかハーモニーと
いった共通のルールの中でどれだけ
暴れられるかを追求する
面白みもあるんですけど…。

ただ、個人的にはグループが
続いていること自体には意味がないと
思ってるんです。

ありがたいことにゴスペラーズは
グループとしては一定の評価を
いただいているけど、

まだまだ個々が力量を
伸ばさなきゃいけない。

もっと言えば、5人それぞれが
独立して世の中に認めて
もらえるような商業的成功を
目指す必要があるんじゃないかと
思ってるんです。

【北山陽一】そうですね。
僕も5人それぞれが常に
グループの外にも
世界を持っていること。

自分の美学を追求するという
選択肢を見据えておくことが、
逆説的ですけど、グループを
続ける上では一番重要だと
思っています。


──つまりソロ活動ということですか?

【村上てつや】僕は一ボーカリストとして
今のエレカシの宮本(浩次)さんを見てて、
率直に悔しいなと思うんですよ。

帰る場所がありつつ、ああやって
『異邦人』を歌いまくる姿を見ながら
「チクショウ」とつぶやいたりして(笑)。

ボーカリスト集団としては、
僕ら5人それぞれもあれくらい
遊べる存在にならなきゃいけないんです。

ハーモニーだなんだ言っても、
ときに緊張感をはらむ
関係性じゃないと面白いものも
生まれないですしね。

──それこそ52枚目シングルの
『VOXers』では、5人の声がぶつかり
合いながらハーモニーを生み出す
“ケンカアカペラ”という
世界観を生み出しました。

【村上てつや】『アカペラ2』の最後に
入ってる『インターバル』という
北山が書いた曲も、タイプは違うけど
メンバーそれぞれの声を味わって
もらうのがコンセプトです。

ゴスペラーズが27年間続いてきたことで、
ともすれば「ボーカルグループは
こうあるべきだ」と思ってしまう
後輩がいたら、それはまずいなと
思うんです。

むしろ緊張感あるグループの
在り方そのものをこれからは
見せていきたいし、
後輩にも引き継いでもらいたい。

そういう意味では、
まだまだゴスペラーズとしてやる
べきことはたくさんあるんですよね。


「音楽は現実から離れて心の小旅行ができる
ツール」コロナ禍の想い

──昨年は25周年ツアーが休止を
余儀なくされた一方で、配信リリースや
配信ライブ、Twitter生配信番組など
さまざまな形で音楽を届けてきました。
このコロナ禍、どんなことを
考えて活動されてきたのでしょうか。


【北山陽一】図らずもですけど、
本作もアカペラアルバムじゃなかったら
スケジュール通りには完成できなかった
かもしれません。

ミュージシャンをスタジオに
集めたりするのも、なかなか
難しい状況でしたから。

【村上てつや】結果的にね。
ただ音楽で誰かに希望や勇気を
届けるとかよく言いますけど、
そんな生易しい話じゃないんだなと。

その“誰か”というのは、
僕らを求めてくれる人に限られて
しまうわけで、ただ、いい意味で
そうした自分たちの限界に向き
合えた分、届け得る人には
きっちり届けようといろいろ
やってきました。

昔の曲を掘り起こした配信番組とかね。

やっぱり音楽というのは現実から
離れて心の小旅行ができるツール
でもあるし、僕らの曲を
きっかけに
「あの頃、こんな恋をしてたな」
とか思い出してくれたとしたら、
それは27年やってきた意味が
あったと思いますね。


──最後に、4月から始まる
アカペラツアーへの思いを
お聞かせいただけますか。

【北山陽一】ゴスペラーズの
ファンって昔から医療従事者や
介護職の方が多いんですね。

なぜだか理由はわからないんですけど、
イベントで話をしたりすると、
そういう方がけっこういて。

4月以降どんな状況になってるか
まだ見えないですが、中にはいろんな
事情でまだライブには行けない方も
いるかもしれません。

もしかしたら僕らがツアーを
行うという発表を聞いて、
置いてけぼりな気持ちに
なってしまった人もいる
かもしれない。

【村上てつや】ツアーを組み立てる前に、
そういう話し合いもしましたね。

来られない事情がある人たちがいることも、
きちんと理解しておかなければいけないと
思っています。

【北山陽一】それでも、今ここでできる
範囲のことを積み重ねていかないと、
いざ安心してライブができるように
なったときには、イベンターさんも
スタッフさんもバイトさんも
みんないない。

今はそんな状況になりかねない
ところまで来ています。

僕たちは来られない方々のことを
忘れたわけじゃない。

みんなで大爆発できる
日には必ず迎えに行くから、
そのときまで待っていてください。

ということは、ツアーを回る前に
お伝えしておきたいですね。

作品情報

アカペラ2
ゴスペラーズ

オリコン 2021-03-10 


https://www.oricon.co.jp/special/55987/
https://www.oricon.co.jp/special/55987/2/

■ゴスペラーズ坂ツアー2021 “アカペラ”
#あなたの街にハーモニーを
2021年4月3日の埼玉・三郷市文化会館を皮切りに、
6月20日の大阪・南海浪切ホールまで
全国9都市23公演を開催












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